公益充実資金

はじめに

令和7年を目途に新公益法人制度施行される見通しです。この記事では「新しい時代の公益法人制度の在り方に関する有識者会議」における最終報告から、「公益充実資金(仮称)」について解説します。

「公益充実資金(仮称)」の創設

現在の「特定費用準備資金」と「資産取得資金」を統合する形で、将来の公益目的事業の発展・拡充のためより柔軟な積立を行うことが可能な「公益充実資金(仮称)」が創設されます。なお、公益充実資金は公益目的事業会計において創設されるため、収益事業会計等においては、従来の「特定費用準備資金」と「資産取得資金」は存続します。

公益充実資金は、横断的・大くくりな設定での設定が可能となることから、細かな事業単位ではなく大括りな設定をすることができます。例えば、「公1」・「公2」等の事業単位を横断する使途の設定もできます。また、いまだ認定されていない将来の新規事業のための資金の積立てを行うことも可能になります。

公益充実資金のまとめ

現在の「特定費用準備資金」に対して、見直し案である「公益充実資金」を項目ごとに確認すると以下のとおりとなります。

設定単位 横断的・大くくりな設定での設定も可とする
・特定費用準備資金と別途存在する資産取得資金も統合
新規事業に関する変更認定前の特定費用準備資金 認める(届出による仮積立を実施)
※ 変更認定が不認定の場合の財産の処理、変更認定までの猶予期間は検討する
積立額 特定費用準備資金は「積立限度額が合理的に算定されていること」だったが、「「積立見込み額」が合理的に算定されていること」へ変更する
設定期間 10年を目安
取崩し方法 特定費用準備資金と同様(目的外取崩しについては特別の手続を定めることが必要)
収支相償上の取扱い 特定費用準備資金と同様(費用(積立額)・収入(取崩し額)に含める)
資金の滞留防止 積立内容の変更については、随時法人からの定期提出書類の変更の提出を求め、形式要件の確認を実施する
行政庁の関与 行政庁は、定期提出書類により形式要件を確認し、HPで各法人の公益充実資金の積立額等を一覧で公表
他の会計の特定費用準備資金 収益事業会計等の特費・資産取得資金は名称も含め変更なし
「使途不特定財産」(遊休財産)との関係 ・公益充実資金は控除対象財産(4号財産)として貸借対照表(特定資産)に計上(特定費用準備資金と同様)
・使途不特定財産の100%超過分は、
✓費消期限なし
✓B/Sの特定資産計上なし
✓保有する合理的理由等の透明化(開示等)

参考・引用資料

  • 新しい時代の公益法人制度の在り方に関する有識者会議 最終報告 報告(令和5年6月2日)
  • 新しい時代の公益法人制度の在り方に関する有識者会議 最終報告 概要(令和5年6月2日)
  • 第9回新しい時代の公益法人制度の在り方に関する有識者会議事務局説明資料 参考資料2(令和5年4月17日)