評価差額①

正味財産の区分

公益法人が有価証券を保有する場合には、指定正味財産として保有する場合と一般正味財産として保有する場合があります。寄付者によって使途や運用方法を指定されている場合は前者(指定正味財産として保有)、そうでない場合には後者(一般正味財産として保有)となります。有価証券を指定正味財産として保有する場合と一般正味財産として保有する場合とでは評価差額の取り扱いがことなるため、注意が必要です。

償却原価法

償却原価法とは、満期保有目的債券を債券金額より低い価額又は高い価額で取得した場合に、取得価額と債券金額の差額の性格が金利の調整と認められる時に、その差額を償還日までの残存期間にわたって受取利息として期間配分する方法です。

満期保有目的債券(一般正味財産から充当された基本財産)に償却原価法を適用する場合、正味財産増減計算書の一般正味財産増減の部に基本財産受取利息を計上します。

一方、満期保有目的債券(寄付者から基本財産に組み入れることを指定して受け入れた有価証券)を償却原価法を適用する場合には、正味財産増減計算書の指定正味財産増減の部に基本財産受取利息を計上します。

なお、利息を法人運営のための支出にあてる場合には、指定正味財産増減の部に計上した基本財産受取利息を一般正味財産増減の部へ振り替える処理をします。

指定正味財産に区分される寄付によって受け入れた有価証券の会計処理について指定正味財産に区分される寄付によって受け入れた有価証券を時価又は償却原価で評価する場合には、従前の帳簿価額との差額は、正味財産増減計算書上、指定正味財産増減の部に記載するものとする。

公益法人会計基準注解(注 11)

時価評価

経常収益または経常費用に含まれる投資有価証券(基本財産または特定資産の区分に記載されるものを含む。)に係る評価損益と売却損益については、その他の経常収益と経常費用に区別して記載します。この場合、その他の経常収益からその他の経常費用を控除して評価損益等調整前当期経常増減額を表示し、さらに投資有価証券評価損益等を調整することによって当期経常増減額を表示します(公益法人会計基準(注16))。