はじめに
令和7年を目途に新公益法人制度が施行される見通しです。この記事では「新しい時代の公益法人制度の在り方に関する有識者会議」における最終報告から、変更認定申請の見直しについて解説します。
はじめに 公益法人制度改革から10年以上が経ち、時代に合わせた改革を進めていく必要があることから、公益法人制度・公益法人会計基準の改正が行われることとなりました。「新しい資本主義」が目指す民間による公益的活動の活性化に向 …
変更認定申請の届出化
公益法人が事業内容等を変更する場合には、変更内容が公益認定基準に適合するか否か改めて審査を行います。「認定」事項が多いことから審査に時間がかかっており、社会変化に対応した事業改編、組織再編を迅速に行うことや法人負担軽減が必要という課題があります。
この課題に対して、以下の見直しが行われることとなりました。
公益認定・変更認定手続きの柔軟化・迅速化
- 公益目的事業の事業再編・縮小、収益事業の追加など、「公益性に大きく影響せず」かつ「事後監督で是正しうる」変更は変更認定申請ではなく、変更届出で良いこととします。
- 必要書類の合理化・明確化、審査期間を公表することで、公益認定や変更認定の審査期間の短縮を図ります。
合併手続等の柔軟化・迅速化
- 公益法人の合併手続等について、事業内容の変更を伴わない単純合併を届出化するなど、審査のメリハリ付け、手続マニュアル作成・周知を行います。
- 新設合併に係る行政手続については、地位の承継認可手続に関する審査のメリハリ付け、必要書類の明確化・合理化等による迅速化を検討します。
- 新法制に基づき合併手続のマニュアル化・周知を図ります。
- 法人の経営判断による公益法人、一般社団・財団法人間の転換容易化の観点から、認定取消し後、5年間は再認定を受けることができないとする欠格事由について、自発的な申請に基づく取消しの場合を除外することを検討します。
下図イメージのとおり、吸収合併手続きの場合には、すでに公益認定を受けている事業について変更認定から変更届へと見直されます。
変更認定の届出化のまとめ
現行、変更認定が必要な手続きが見直しによってどう変わるかを整理すると以下のとおりです。
変更認定申請が必要な事項 | 主な変更内容 | 見直し後 |
---|---|---|
公益目的事業の種類又は内容の変更 | 公益目的事業(公〇)の新規追加 | 変更認定 |
公益目的事業の種類又は内容の変更 | 公益目的事業の廃止 | 届出化 |
公益目的事業の種類又は内容の変更 | 公益目的事業の統合 | 届出化 |
公益目的事業の種類又は内容の変更 | (吸収合併)存続法人が消滅法人の事業をそのまま承継 | 届出化 |
収益事業等の内容の変更 | 収益事業等のみの変更(追加・廃止) | 届出化 |
事業の実施区域等の変更 | 行政庁の変更 | 事務手続の迅速化等検討 |
参考・引用資料
- 新しい時代の公益法人制度の在り方に関する有識者会議 最終報告(令和5年6月2日)
- 第9回新しい時代の公益法人制度の在り方に関する有識者会議事務局説明資料 参考資料2(令和5年4月17日)