質問
使途が指定された寄付金は、寄付金の受領時に指定正味財産で受け、事業に充てる際に一般正味財産へ振り替えています。しかし、前期中に使途の指定された寄付金を受領した際に誤って一般正味財産に計上していることが判明しました。どのように対応したら良いでしょうか。
回答
指定正味財産から一般正味財産へ振り替えることはできますが、その逆(一般正味財産から指定正味財産への振替)はできません。そのため、過年度遡及会計基準を適用することが考えられます。具体的には、前期の決算書を修正するとともに、当期の決算書に「過去の誤謬の修正再表示に関する注記」を記載することになります。
ただし、重要性の観点から過年度遡及会計基準を適用しない場合には、過年度損益修正を行う方法も考えられます。
具体例
【例】①前期に使途の指定された寄附金として100,000,000円を受け入れたが、一般正味財産増減の部に計上していた(本来は指定正味財産増減の部の受取寄附金とし、助成事業積立資産に計上すべきものであった)。そのため、過年度遡及会計基準を適用し、過去の誤謬の訂正を行う場合。
当期の決算書に下記の注記を追加します。
当法人が前事業年度において受け入れた寄附金100,000,000円が、誤って前事業年度年度の一般正味財産増減の部の受取寄附金として計上されていた。前事業年度の財務諸表は、この誤謬を訂正するために修正再表示している。
修正再表示の結果、修正再表示を行う前と比べて、前事業年度の貸借対照表は、助成事業積立資産、指定正味財産がそれぞれ100,000,000円増加し、現金預金、一般正味財産がそれぞれ同額減少し、前事業年度の正味財産増減計算書は、一般正味財産増減計算書の受取寄附金、当期一般正味財産増減額がそれぞれ100,000,000円減少し、指定正味財産増減の部の受取寄附金、当期指定正味財産増減額がそれぞれ同額増加している。
【例】②前期に使途の指定された寄附金として10,000円を受け入れたが、一般正味財産増減の部に計上していた(本来は指定正味財産増減の部の受取寄附金とし、助成事業積立資産に計上すべきものであった)。過年度遡及会計基準は適用せずに過年度損益修正を行う場合。
当期の正味財産増減計算書において下記のように過年度損益修正を行うことが考えられます。
Ⅰ一般正味財産増減の部
経常外費用
前期損益修正損 10,000円
Ⅱ指定正味財産増減の部
過年度受取寄附金 10,000円